2020
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株式会社サンレー

 代表取締役社長

  佐久間庸和

冠婚葬祭とは「糸」を張ること

   日本人の幸福度を上げよう!

●日本人の幸福度ランキング
 全国的に酷暑が続きますが、どうか新型コロナウイルスの感染に加えて、熱中症に気をつけていただきたいと思います。
 「幸福度ランキング」の最新版が発表されました。「ITmedia ビジネスオンライン」が8月11日に配信した記事によると、ブランド総合研究所が、住民による都道府県の評価調査「都道府県版SDGs調査2020」の結果を発表しました。
 都道府県版SDGs調査は2019年に続いて2回目の実施となります。幸福度、生活満足度、定住意欲度など、地域の持続性に関する項目を調査。幸福度の調査では、各都道府県の住民に対して「あなたは幸せですか?」と質問し、「とても幸せ」「少し幸せ」「どちらでもない」「あまり幸せではない」「全く幸せではない」から選んでもらったそうです。その結果をそれぞれ100点、75点、50点、25点、0点の比重で加重平均したものを幸福度の指標としたとか。

●サンレーのエリアが軒並み上位に!
 今回の住民の「幸福度」に関する指標では、宮崎県が2年連続の1位。沖縄県が2位、大分県が3位で、4位は福井県。5位は石川県でした。わが社のエリアでは、1位の宮崎県、2位の沖縄県、3位の大分県とベスト3を制覇しており、石川県もベスト5に入っています。これらの県民のみなさんが幸福なのは、もしかしたら、わが社の存在があるからではないかと考えてみました。もちろん不遜な考えであることは百も承知ですが、考えれば考えるほど、本当にそんな気がしてきました。
 もともと不安定である「こころ」を安定させるのは儀式という「かたち」であり、冠婚葬祭業という儀式産業は人間の幸福というものの根幹に関わっているのです。
 世界で最も国民の幸福度が高い国として知られているのは、ブータンです。国民のなんと9割以上が「自分は幸福だ」と感じているというブータンは世界で唯一のチベット仏教を国教とする国です。葬儀を中心とした宗教儀礼が非常に盛んなことで知られます。そう、幸福というものは信仰心の強さに深く関わっているように思えます。

●幸福度に関わっている信仰心
 考えてみれば、宮崎県は「神々のふるさと」で、神道が盛んです。沖縄県は「守礼之邦」で儒教精神が生きています。石川県は「真宗王国」で、浄土真宗の信徒が多い。
 さらに、幸福度を考える上で人間関係の良好さというものが重要と言えます。サンレーグループが、信仰心が強く、人間関係を重視する土地で冠婚葬祭業を営むことができるのは、幸せなことですね。
 さて、わが社の本社がある福岡県は14位でした。他のエリアに比べると低いです。ちょっと残念ですが、昨年は38位だったことを考えると、20位以上もアップしたというのは朗報です。
 福岡県の県庁所在地は言うまでもなく福岡市ですが、わが社は福岡市博多区に「福岡浦田紫雲閣(仮称)」、東区に「福岡多々良紫雲閣(仮称)」の2施設を今年末に開業し、本格的に福岡進出します。先月、両施設の起工式を無事に終えました。
 わが社の福岡市進出によって、「福岡県民の幸福度を上昇させる」というぐらいの気概を持って頑張りたいと思います。来年は福井県の代わりに福岡県を入れて、ベスト5をわが社のエリアで独占したい!」

●映画「糸」を観て思ったこと
 さて、日本映画「糸」を観ました。4回泣きました。結婚式のシーンも、葬儀のシーンも両方あるのですが、どちらも感動的で、素晴らしい冠婚葬祭映画でした。
 この映画のもとになった中島みゆきさんの名曲「糸」には、「縦の糸はあなた、横の糸はわたし」という歌詞が登場します。
 結ばれる男女を縦横の糸に例えているわけですが、わたしはよく縦の糸を「先祖」、横の糸を「隣人」に例えます。
 現代人はさまざまなストレスで不安な心を抱えて生きています。空中に漂う凧のようなものです。凧が安定して空に浮かぶためには糸が必要です。さらに安定して空に浮かぶためには縦糸と横糸が必要です。
 縦糸とは時間軸で自分を支えてくれるもの、すなわち「先祖」であり、「血縁」です。映画「糸」では、沖縄の人々が先祖の墓の前で宴会を行い、カチャーシーを舞うシーンがありました。また、横糸とは空間軸から支えてくれる「隣人」であり、「地縁」です。映画に登場する北海道の子ども食堂はまさに隣人愛の場所でした。

●血縁と地縁の「糸」を張る
 縦糸と横糸の2つの糸があれば、つまり血縁と地縁があれば、安定して宙に漂っていられる、すなわち心安らかに生きていられる。これこそ、人間にとっての真の「幸福」の正体ではないかと思います。
 冠婚葬祭業とは、先祖と隣人を大切にし、血縁と地縁を強化するお手伝いをする仕事です。人間が心安らかに生きていくための縦糸と横糸を張る仕事であり、それは人間の「幸福」そのものに直結しています。
 中島みゆきさんの解釈にせよ、わたしの解釈にせよ、「糸」というのは「縁」のメタファーであることは同じです。この世には「縁」というものがあります。
 すべての物事や現象はバラバラであるのではなく、緻密な関わり合いをしています。この緻密な関わり合いを「縁」と言うのです。冠婚葬祭業というのは、結婚式にしろ、葬儀にしろ、人の縁がなければ成り立たない仕事です。この仕事にもしインフラというものがあるとしたら、それは人の縁にほかなりません。これからも各地で「縁」を大切にするお手伝いをして、日本人の幸福度を上昇させたいものですね。
   
 縦糸と横糸張りて凧浮かし
        血縁地縁ともに支へん  庸軒