第6回
一条真也
仲よくない人の忠告こそ大事
子曰く、君子は言を以て人を挙げず、人を以て言を廃せず。

 だれかがあなたに忠告をしてくれたとします。そのとき、相手が人気のある人、みんなに好かれている人だったら、よろこんで聞くでしょう。でも、ちょっと評判の悪い人、自分でも気に入らない人だったら、なんとなく聞き流したりしていないでしょうか。
 孔子さまはむしろ、つまらないと思う人が言ってくれた忠告こそよく聞きなさいというのです。そういうなかにこそ、「ああ、そうだよね」という真実がつまっているかもしれないのです。 というのは、人気がある人や、あなたと仲がいい人は、「あなたに悪く思われたくない」という気持ちから、正直にいわないでごまかしてしまうかもしれないからです。でも、あまり仲よくない人は、そんなこと関係ないので、ズバリと言ってくれることが多いのです。

 言葉は、そのなかみをよく考え、その人柄と、言葉を切り離して考えなければいけません。仲がよくない相手なら、いつも忠告してくれるわけではないでしょうが、「めったにない忠告」だからこそ、とても大事な意味がこめられているのです。