2020
4
株式会社サンレー
代表取締役社長
佐久間庸和
パンデミック宣言とオリンピック延期
何事も陽にとらえて考えよう!
●パンデミック宣言
今年も多くの新入社員のみなさんを迎えました。心より歓迎いたします。世の中の数多くある会社の中から、サンレーを選んで下さったことに感謝の気持ちでいっぱいです。
いま、世の中は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて各種の集会やイベントが中止されていますが、なんとか入社式だけは行いたいと思っていました。
現在、人類は新型コロナウイルスの猛威に翻弄されています。WHO(世界保健機関)は「パンデミック」を宣言しました。感染症の世界的大流行を認めたのです。
日本で東日本大震災が発生してから9年目となる3月11日、WHOのテドロス事務局長は、新型コロナウイルスの感染の拡大と深刻さ、それに対策のなさに強い懸念を示し、「パンデミックに相当する」と表明。また、感染者や死者の数が今後も増えて、感染がさらに拡大するとの見通しを示しました。
●東京五輪は開催できるのか?
7月に開催が予定されている東京オリンピックの1年程度の延期が決定されました。3月24日、夜、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長と安倍首相との電話会談により、新型コロナウイルスの世界各国への広がりに鑑みての決定です。
言うまでもなく、オリンピックは平和の祭典です。悲しいことですが、古今東西、人類の歴史は戦争の連続でした。有史以来、世界で戦争がなかった年はわずか十数年という説もあります。戦争の根本原因は人間の憎悪であり、それに加えて、さまざまな形の欲望や他国に対する恐怖心への対抗などが悲劇を招いてきたのです。
しかし、それでも世界中の人々が平和を希求し、さまざまな手法で模索し続けてきたのもまた事実です。国際連盟や国際連合の設立などとともに人類が苦労して生み出した平和のための最大の文化装置こそがオリンピックであることには違いないのです。
●グローバルな合意の表れ
『サピエンス全史』『ホモ・デウス』といった世界的ベストセラーの著者であるイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの最新刊『21Lessons』の中で、著者ハラリはこう書いています。
「2020年に東京オリンピックを観るときには、これは一見すると国々が競っているように見えるとはいえ、じつは驚くほどグローバルな合意の表れであることを思い出してほしい。人々は自国の選手が金メダルを獲得して国旗が掲揚されるときに、国民としておおいに誇りを感じるものの、人類がこのような催しを計画できることにこそ、はるかに大きな誇りを感じるべきなのだ」(柴田裕之訳)
現在のわたしたちは、深く考えることなく「WHO」や「IOC」などの国際機関の名前を口にしますが、これらは大変な苦労の末に生まれたグローバルな合意の表れなのです。そして、第一次世界大戦が起こったから国際連盟が生まれ、第二次世界大戦が起こったから国際連合が生まれた歴史的事実を忘れてはなりません。
●パンデミックを陽にとらえる
国連もWHOもIOCも、すべて人類の叡智の果実なのです。さらには、グローバリズムの「負のシンボル」がパンデミックであり、「正のシンボル」がオリンピックであることを知る必要があります。
何事も陽にとらえる。これは佐久間会長から受け継いだわたしの信条ですが、今回のWHOによるパンデミック宣言を陽にとらえると、どうなるか。それはもう、世界中のすべての人々が国家や民族や宗教を超えて、「自分たちは地球に棲む人類の一員なのだ」と自覚することに尽きるでしょう。
「宇宙船地球号」とは、アメリカの思想家・デザイナーであるバックミンスター・フラーが提唱した概念・世界観です。地球上の資源の有限性や、資源の適切な使用について語るため、地球を閉じた宇宙船にたとえて使われています。各国の民は国という束縛があってもみんな同じ宇宙船地球号の乗組員だから、乗組員(国家間)の争いは望まれません。
●ワンチームで行こう!
わたしたちが「宇宙船地球号」の乗組員であることを自覚する、その最大の契機を今回のパンデミック宣言は与えてくれるのではないでしょうか。そのパンデミックですが、わたしは新しい世界が生まれる陣痛のような気がします。考えてみると、こんなに人類が一体感を得たことが過去にあったでしょうか。
戦争なら戦勝国と敗戦国がある。自然災害なら被災国と支援国がある。しかし、今回のパンデミックは「一蓮托生」ではないですか。
「パンデミック宣言」は「宇宙人の襲来」と同じようなものです。新型コロナウイルスも、地球侵略を企むエイリアンも、ともに人類を「ワンチーム」にしてくれる外敵なのですから。「人類はみな兄弟」という倫理スローガンが史上初めて具現化したという見方もできます。今回のパンデミックを大きな学びとして、人類が地球温暖化をはじめとした地球環境問題、そして長年の悲願である戦争根絶と真剣に向き合うことを願います。
人類はこれまでペストや天然痘やコレラなどの疫病を克服してきましたが、それは、その時々の共同体内で人々が互いに助け合い、力を合わせてきたからです。あわせて、新型コロナはITの普及によって全世界にもたらされている悪い意味での「万能感」を挫き、人類が自然に対しての畏れや謙虚さを取り戻すことが求められると言えます。
パンデミックの収束後に開催されるオリンピックこそは真の人類の祭典であり、わたしも開催を心の底から願っています。その場所が東京であれ、他の都市であれ・・・。
この星を一つにするは新型の
コロナウイルスそして五輪よ 庸軒
今年も多くの新入社員のみなさんを迎えました。心より歓迎いたします。世の中の数多くある会社の中から、サンレーを選んで下さったことに感謝の気持ちでいっぱいです。
いま、世の中は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて各種の集会やイベントが中止されていますが、なんとか入社式だけは行いたいと思っていました。
現在、人類は新型コロナウイルスの猛威に翻弄されています。WHO(世界保健機関)は「パンデミック」を宣言しました。感染症の世界的大流行を認めたのです。
日本で東日本大震災が発生してから9年目となる3月11日、WHOのテドロス事務局長は、新型コロナウイルスの感染の拡大と深刻さ、それに対策のなさに強い懸念を示し、「パンデミックに相当する」と表明。また、感染者や死者の数が今後も増えて、感染がさらに拡大するとの見通しを示しました。
●東京五輪は開催できるのか?
7月に開催が予定されている東京オリンピックの1年程度の延期が決定されました。3月24日、夜、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長と安倍首相との電話会談により、新型コロナウイルスの世界各国への広がりに鑑みての決定です。
言うまでもなく、オリンピックは平和の祭典です。悲しいことですが、古今東西、人類の歴史は戦争の連続でした。有史以来、世界で戦争がなかった年はわずか十数年という説もあります。戦争の根本原因は人間の憎悪であり、それに加えて、さまざまな形の欲望や他国に対する恐怖心への対抗などが悲劇を招いてきたのです。
しかし、それでも世界中の人々が平和を希求し、さまざまな手法で模索し続けてきたのもまた事実です。国際連盟や国際連合の設立などとともに人類が苦労して生み出した平和のための最大の文化装置こそがオリンピックであることには違いないのです。
●グローバルな合意の表れ
『サピエンス全史』『ホモ・デウス』といった世界的ベストセラーの著者であるイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの最新刊『21Lessons』の中で、著者ハラリはこう書いています。
「2020年に東京オリンピックを観るときには、これは一見すると国々が競っているように見えるとはいえ、じつは驚くほどグローバルな合意の表れであることを思い出してほしい。人々は自国の選手が金メダルを獲得して国旗が掲揚されるときに、国民としておおいに誇りを感じるものの、人類がこのような催しを計画できることにこそ、はるかに大きな誇りを感じるべきなのだ」(柴田裕之訳)
現在のわたしたちは、深く考えることなく「WHO」や「IOC」などの国際機関の名前を口にしますが、これらは大変な苦労の末に生まれたグローバルな合意の表れなのです。そして、第一次世界大戦が起こったから国際連盟が生まれ、第二次世界大戦が起こったから国際連合が生まれた歴史的事実を忘れてはなりません。
●パンデミックを陽にとらえる
国連もWHOもIOCも、すべて人類の叡智の果実なのです。さらには、グローバリズムの「負のシンボル」がパンデミックであり、「正のシンボル」がオリンピックであることを知る必要があります。
何事も陽にとらえる。これは佐久間会長から受け継いだわたしの信条ですが、今回のWHOによるパンデミック宣言を陽にとらえると、どうなるか。それはもう、世界中のすべての人々が国家や民族や宗教を超えて、「自分たちは地球に棲む人類の一員なのだ」と自覚することに尽きるでしょう。
「宇宙船地球号」とは、アメリカの思想家・デザイナーであるバックミンスター・フラーが提唱した概念・世界観です。地球上の資源の有限性や、資源の適切な使用について語るため、地球を閉じた宇宙船にたとえて使われています。各国の民は国という束縛があってもみんな同じ宇宙船地球号の乗組員だから、乗組員(国家間)の争いは望まれません。
●ワンチームで行こう!
わたしたちが「宇宙船地球号」の乗組員であることを自覚する、その最大の契機を今回のパンデミック宣言は与えてくれるのではないでしょうか。そのパンデミックですが、わたしは新しい世界が生まれる陣痛のような気がします。考えてみると、こんなに人類が一体感を得たことが過去にあったでしょうか。
戦争なら戦勝国と敗戦国がある。自然災害なら被災国と支援国がある。しかし、今回のパンデミックは「一蓮托生」ではないですか。
「パンデミック宣言」は「宇宙人の襲来」と同じようなものです。新型コロナウイルスも、地球侵略を企むエイリアンも、ともに人類を「ワンチーム」にしてくれる外敵なのですから。「人類はみな兄弟」という倫理スローガンが史上初めて具現化したという見方もできます。今回のパンデミックを大きな学びとして、人類が地球温暖化をはじめとした地球環境問題、そして長年の悲願である戦争根絶と真剣に向き合うことを願います。
人類はこれまでペストや天然痘やコレラなどの疫病を克服してきましたが、それは、その時々の共同体内で人々が互いに助け合い、力を合わせてきたからです。あわせて、新型コロナはITの普及によって全世界にもたらされている悪い意味での「万能感」を挫き、人類が自然に対しての畏れや謙虚さを取り戻すことが求められると言えます。
パンデミックの収束後に開催されるオリンピックこそは真の人類の祭典であり、わたしも開催を心の底から願っています。その場所が東京であれ、他の都市であれ・・・。
この星を一つにするは新型の
コロナウイルスそして五輪よ 庸軒