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一条真也
互助会とグリーフケア
 1月22日、全互協の新春講演会のパネルディカッションが行われた。上智大学グリーフケア研究所の島薗進所長、同研究所の粟津賢太特別研究員とともに、わたしもパネリストとして登壇した。
「グリーフケアが冠婚葬祭互助会にとってなぜ必要になっているのか」がテーマだったが、わたしはこう述べた。
 冠婚葬祭互助会は、単なる結婚式と葬儀の施行会社ではなく、冠婚葬祭に係る一切をその事業の目的としている。確かに結婚式と葬儀を中心に発展してきた業界ではあるが、結婚式と葬儀のいずれも近親者や地域社会で行ってきたものが、時代の流れにより対応できなくなり、事業化されてきたとも言えるだろう。
 グリーフケアについても、近親者や地域社会といった担い手がいなくなった現代、血縁や地縁に代わる新しい縁として、遺族会や自助グループなどの「悲縁」とでも呼ぶべきものが生まれつつある。
 地域社会における人々の交流が減少している中、葬儀から葬儀後において接触する機会が多く、故人のことやその家庭環境を知る互助会の葬祭スタッフが頼りにされるという状況も増えている。つまり、互助会業界こそ、現代日本におけるグリーフケアの最もふさわしい担い手なのである。
 グリーフケアにとどまらず、地域社会にとって喫緊の課題に関わっていくのは、互助会のような地域密着型の企業にとっては事業を永続的に行っていくためにも必要だ。
 それは社会的責任(CSR)を果たすことにつながり、地域に不可欠の存在となるための最重要ポイントである。
 最後に、昨年末に亡くなられた全互協の柴山文夫元会長は、互助会におけるグリーフケアの重要性を説き、資格認定制度の立ち上げを切望しておられた。故人の遺志を継いでゆきたい。