2019
7
株式会社サンレー

 代表取締役社長

  佐久間庸和

紫雲閣を災害避難所に

   互助会から互助社会をつくろう!

●北九州市との災害支援協定
 いま、わが社の社会貢献への取り組みが大きな注目を集めています。わが社は北九州市との間に、「災害時における施設の使用に関する協定」を結びました。これは、地震や津波や台風や大雨などの災害時に予定避難所として北九州市が紫雲閣の施設を使用するという協定です。
 まずは、「小倉紫雲閣」と「北九州紫雲閣」の2施設を提供させていただくことになりました。6月4日、北九州市庁舎で締結式が行われ、わたしと北九州市の北橋市長が調印と署名をしました。
 わが社は昭和41年に北九州市で創業し、以来52年間冠婚葬祭互助会の事業を展開してきました。「人間尊重」を経営理念とし、地域の皆様のお役に立てること、そして必要とされる会社となることを目指し精進してきましたが、わが社のミッションに基づいたこの協定の締結で、大きな目標に一歩近づくことができ、大変嬉しく思っています。

●地域の皆様の安心のために
 今回の締結の経緯としては、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨などの避難所の様子などを知り、その不便さ、不快さに心を痛めていました。もし北九州市で大型災害が発生した場合、小倉紫雲閣と北九州紫雲閣を災害時の予定避難所として提供させていただくことで、より地域の皆様が安心していただけるのではないかと考え、北九州市様にご相談させていただいたところ、ご尽力頂き締結の日を迎えることができました。今回の協定により、さらに地域に密着したかたちで地域の皆様と密接な関係が築けていけるものと思います。
 わが社の施設の強みとしては、全館バリアフリーで高齢者や乳幼児とご一緒の方にも安心して使っていただけること、そして駐車場を完備しているので身体が不自由な方や高齢の方も車で避難できること、24時間スタッフが常駐していることなどが挙げられます。

●紫雲閣に行けば大丈夫
 もともと災害時の避難所といえば、小学校の体育館などが多いですが、高齢者の方々が一度も行ったことがない場所がほとんどのようです。いざという時に、一度も行ったことのない場所に逃げ込むというのは予想以上に難しいものです。やはり、これまで行ったことのある場所がベストです。両紫雲閣ならば、北九州に住んでおられる高齢者で一度も訪れたことのない方は少ないでしょう。「何かあったら、紫雲閣に行けば大丈夫」と思っていただければと思います。
 今回の協定の締結を契機として、わが社としても今まで以上に地域の皆様のお役に立てるように精進する所存です。
 締結式後の記者会見では、北橋市長より「災害に対応するには、住民や地域団体、企業、行政等がそれぞれの特徴を活かし、『総合的な防災対策に取り組む地域社会』を構築することが重要です」との挨拶があり、わが社に対して過分な感謝の言葉を頂戴しました。

●コミュニティセンターの時代
 これまで避難所に行くことをためらっていた方に大規模な災害時に限らず、毎年起こりうる大雨や台風の際にも予定避難所として避難者を受け入れ安心を提供させていただきたいとの思いで今回の協定締結となりました。
 紫雲閣グループは「セレモニーホールからコミュニティセンターへ」をスローガンにしていますが、今回の協定により新たなコミュニティセンターとしての大きな役割を果たすことができます。そして、「地域になくてはならない不可欠の施設」として認識されることでしょう。これからも、地域の皆様に大いに貢献させていただきたいと願っています。
 「寺離れ」「神社離れ」といわれるようになって久しいですが、かつては寺院や神社が果たしていた地域の交流の場としての役割を担うべく、紫雲閣グループは果敢な挑戦を続けます。すべての紫雲閣を、葬儀や法要などのセレモニーだけでなく、地域住民の寄り合いの場や発表会など、地域の交流の場として開放する考えです。

●修活クラブをめざして
 考えてみれば、紫雲閣は理想的な公民館と言えるでしょう。音響設備も利用できることから、趣味の演奏会や地域のカラオケ大会、町内会や老人会の集まりの場として、基本的には無料でお使いいただきます。
 また、わが社は、もともと寺院などが果たしてきた遺族に寄り添い、悲しみを癒すという役割を担うことも目指しています。単なる葬祭運営の手伝いだけではなく、残された人たちの心のケアが極めて重要と考えているからです。遺族などが入会できる「月あかりの会」では、「癒し」「集い」「学び」「遊び」の4つのテーマのもと、イベントやセミナーなどを通じて、悲しみを癒すためのきっかけ作りや、人生を前向きに捉えていけるように支援します。
 会員が自由に集って楽しめる「うさぎの会」では、写経やフラワーアレンジメントなどの活動を実施しています。
 高齢者の生き生きとした暮らしを支援する「ともいき倶楽部」の活動も見逃せません。わが社の研修施設である「天道館」を地域に無料開放して、毎月第2木曜には「ともいき倶楽部笑いの会」を開催しています。同会ではマジックや落語、フラダンスなどさまざまなエンターテイメントが催され、多くの高齢者が来場し、生きる楽しみを実感しています。
  「良き生を送ることが良き死を迎えることにつながる」という我が社の一貫した考え方は、「人生を修める」という「修生活動」すなわち「修活」につながります。そう、互助会とは人生を修めるための「修活クラブ」でもあるのです。これからの多様な活動を通じて、ぜひ互助社会の実現を目指しましょう!

 人はみな 助け求むる人助く
     こころの社(やしろ) 求むものなり  庸軒