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一条真也
平成最後の年を迎えて

 

 平成の最後の年が始まった。今年4月30日に今上天皇は御譲位され、翌5月1日に改元となる。新しい時代の訪れで、あらゆるものが変化する。
 例えば、今年も多くの方々から年賀状をいただいたが、文面に「紙の年賀状は今年限りとさせていただきます」という一文が目に付いた。いわゆる「年賀状じまい」である。
 もう新しい時代が来るのだから、古い習慣は終わりにしよう」という考え方が広まってきている。年賀状の他にも、さまざまな礼儀やビジネスマナーをムダだと感じている人が増えてきているようだ。
 VRエヴァンジェリストのGOROmanさんが書いた電子書籍『マッハ新書-礼儀2.0』が話題となっているが、それによれば、20代~40代前半の人たちの多くが、礼儀の定義が変わってきていると考えているという。
 旧来の礼儀は「相手を重んじる。自分の時間を犠牲にし、時間を相手のために使う。直接会う。スーツなど服装をわきまえる」などだったが、新しい礼儀は「相手の時間を奪わないようにする(電話しない、リモートで済むものはリモート)」のだそうだ。
 たしかに、礼儀というものはアップデートするものである。世の中、変えてもいいものと変えてはいけないものとがあるが、窮屈なばかりで意味のない礼儀、いわゆる虚礼などは廃れていくのが当然だろう。平成が終わって新元号となったとき、それらの虚礼は一気に消え去っていく。
 もちろん、結婚式や葬儀、七五三や成人式などは消えてはならないもの。それらは「こころ」を豊かにする「かたち」であり、それらを守ることが、冠婚葬祭互助会の使命だ。
 とはいえ、互助会そのものも変わる。結婚式・葬儀以外の新型サービスによって会員のニーズやウォンツをつかむことが必要である。