2018
9
株式会社サンレー
代表取締役社長
佐久間庸和
アップデートする冠婚葬祭
新たな儀式の時代を拓(ひら)こう!
●ブロックチェーンの時代
あと半年ちょっとで「平成」が終わります。 日本のみならず、世界全体が猛烈なスピードで変化していますが、その中心にあるのがWebの世界です。金融とテクノロジーを掛け合わせたものを「フィンテック」といいますが、その代表例がビットコインなどの「仮想通貨」です。
その「仮想通貨」が通貨として機能し、サービスが成り立つ上で非常に重要な技術と言われているのが「ブロックチェーン」です。ブロックチェーンは分散して管理されるので、ビットコインを利用しているあらゆるユーザーのコンピューターに保存されます。銀行のような特定の管理機関がないため、権限が一箇所に集中することはありません。
そのためシステム障害に強く、かつ低コストで金融サービスが運用できると期待されているそうです。このようなシステムが本当に普及すれば、銀行そのものの存続も危うくなるわけで、時代の変化の凄まじさを痛感します。わたしたち冠婚葬祭互助会の経営も根本的に変わることが予想されます。
●Web3.0革命とは何か
ブロックチェーン技術の浸透によって、Webは「3.0」にシフトします。これまでの流れを俯瞰すると、以下のようになります。
■Web1.0(1995~2005)
ホームページの時代
■Web2.0(2005~2018)
SNSの時代
■Web3.0(2018~)
ブロックチェーンの時代
Web3.0には、(1)非中央集権、分散的(2)データは企業ではなく、ユーザーが保有(3)相互運用性がある(4)ボーダーレス(5)不正侵入やデータ漏洩の劇的な減少(6)サーバーダウンなし・・・などの特徴があるとされます。
国連は、2000年から2015年にかけて、世界のインターネットユーザーが7億3800万人から32億人に増加したと概算しました。気の遠くなるような膨大な量のデータがネット上に存在するのです。
●中央集権型の終わり
それらの膨大なデータが、Amazon、Facebook、Twitterといった巨大怪獣のようなIT企業が管理する中央集権型のサーバーに蓄積されていきました。便利なサービスと引き換えに、情報のセキュリティが犠牲にされてきました。
現在では、ネットユーザーの個人情報やウェブの閲覧傾向、検索やオンラインショッピングの情報などが企業間で高値で売買されているそうです。
企業にとって、個人情報は極めて価値が高い資産であったわけですが、Web3.0革命によって、その状況は一変します。
権力と情報は、現代の巨大怪獣たちに集中させるのではなく、データの持ち主の手に戻っていくことになるでしょう。
この「Web3.0革命」は一種の進化論といえます。この発想はさまざまな業界にも活かすことができると思われますが、なんと仏教や神道といった宗教の世界でも通用するようです。
●仏教3.0と神道3.0
形骸化が叫ばれている日本仏教にこの視点を持ち込んだのが『アップデートする仏教』藤田一照・山下良道著(幻冬舎新書)という本です。以下のように説かれています。
■仏教1.0
(檀家制度に支えられた葬式仏教・コミュニティ仏教として形骸化していった日本の大乗仏教)
■仏教2.0
(瞑想修行の実践的プログラムと実修を具体的に提示したテーラワーダ仏教)
■仏教3.0
(テーラワーダ仏教による批判的吟味を踏まえて仏教本来の瞑想修行を取り戻した大乗仏教)
そして、宗教哲学者の鎌田東二氏は、柿坂神酒之佑氏との共著『天河大辨財天社の宇宙』(春秋社)で次のような三種神道を示しています。
■神道1.0
(天皇制を頂点とした律令体制以降の神社神道や近代のいわゆる国家神道)
■神道2.0
(天皇制以前から存在してきた神祇信仰や自然崇拝を中核とした自然神道や古神道)
■神道3.0
(自然神道を核とし国家神道を内在的に批判突破した神神習合や神仏習合や修験道をも内包する生態智神道)
●そして冠婚葬祭3.0へ
わたしは「仏教3.0」や「神道4.0」だけでなく「冠婚葬祭3.0」についても考えるべき時期が来ていると思います。「寺院消滅」や「神社消滅」が叫ばれている昨今ですが、制度疲労を迎えているのは、けっして日本仏教や神道だけではないのです。とりあえず、次のように考えてみました。
■冠婚葬祭1.0
(戦前の村落共同体に代表される旧・有縁社会の冠婚葬祭)
■冠婚葬祭2.0
(戦後の経済成長を背景とした互助会の発展期における冠婚葬祭)
■冠婚葬祭3.0
(無縁社会を乗り越えた新・有縁社会の冠婚葬祭)
いま、七五三も成人式も結婚式も、そして葬儀も大きな曲がり角に来ています。現状の冠婚葬祭が日本人のニーズに合っていない部分もあり、またニーズに合わせすぎて初期設定から大きく逸脱し、「縁」や「絆」を強化し、不安定な「こころ」を安定させる儀式としての機能を果たしていない部分もあります。
いま、儀式文化の初期設定に戻りつつ、アップデートの実現が求められています。「冠婚葬祭3.0」、さらには「冠婚葬祭4.0」の誕生が待たれているのです。サンレーグループがその産婆となるべく、がんばりましょう。
しがらみと見栄と無縁を乗り越えて
新たに拓く有縁(うえん)の儀式 庸軒
あと半年ちょっとで「平成」が終わります。 日本のみならず、世界全体が猛烈なスピードで変化していますが、その中心にあるのがWebの世界です。金融とテクノロジーを掛け合わせたものを「フィンテック」といいますが、その代表例がビットコインなどの「仮想通貨」です。
その「仮想通貨」が通貨として機能し、サービスが成り立つ上で非常に重要な技術と言われているのが「ブロックチェーン」です。ブロックチェーンは分散して管理されるので、ビットコインを利用しているあらゆるユーザーのコンピューターに保存されます。銀行のような特定の管理機関がないため、権限が一箇所に集中することはありません。
そのためシステム障害に強く、かつ低コストで金融サービスが運用できると期待されているそうです。このようなシステムが本当に普及すれば、銀行そのものの存続も危うくなるわけで、時代の変化の凄まじさを痛感します。わたしたち冠婚葬祭互助会の経営も根本的に変わることが予想されます。
●Web3.0革命とは何か
ブロックチェーン技術の浸透によって、Webは「3.0」にシフトします。これまでの流れを俯瞰すると、以下のようになります。
■Web1.0(1995~2005)
ホームページの時代
■Web2.0(2005~2018)
SNSの時代
■Web3.0(2018~)
ブロックチェーンの時代
Web3.0には、(1)非中央集権、分散的(2)データは企業ではなく、ユーザーが保有(3)相互運用性がある(4)ボーダーレス(5)不正侵入やデータ漏洩の劇的な減少(6)サーバーダウンなし・・・などの特徴があるとされます。
国連は、2000年から2015年にかけて、世界のインターネットユーザーが7億3800万人から32億人に増加したと概算しました。気の遠くなるような膨大な量のデータがネット上に存在するのです。
●中央集権型の終わり
それらの膨大なデータが、Amazon、Facebook、Twitterといった巨大怪獣のようなIT企業が管理する中央集権型のサーバーに蓄積されていきました。便利なサービスと引き換えに、情報のセキュリティが犠牲にされてきました。
現在では、ネットユーザーの個人情報やウェブの閲覧傾向、検索やオンラインショッピングの情報などが企業間で高値で売買されているそうです。
企業にとって、個人情報は極めて価値が高い資産であったわけですが、Web3.0革命によって、その状況は一変します。
権力と情報は、現代の巨大怪獣たちに集中させるのではなく、データの持ち主の手に戻っていくことになるでしょう。
この「Web3.0革命」は一種の進化論といえます。この発想はさまざまな業界にも活かすことができると思われますが、なんと仏教や神道といった宗教の世界でも通用するようです。
●仏教3.0と神道3.0
形骸化が叫ばれている日本仏教にこの視点を持ち込んだのが『アップデートする仏教』藤田一照・山下良道著(幻冬舎新書)という本です。以下のように説かれています。
■仏教1.0
(檀家制度に支えられた葬式仏教・コミュニティ仏教として形骸化していった日本の大乗仏教)
■仏教2.0
(瞑想修行の実践的プログラムと実修を具体的に提示したテーラワーダ仏教)
■仏教3.0
(テーラワーダ仏教による批判的吟味を踏まえて仏教本来の瞑想修行を取り戻した大乗仏教)
そして、宗教哲学者の鎌田東二氏は、柿坂神酒之佑氏との共著『天河大辨財天社の宇宙』(春秋社)で次のような三種神道を示しています。
■神道1.0
(天皇制を頂点とした律令体制以降の神社神道や近代のいわゆる国家神道)
■神道2.0
(天皇制以前から存在してきた神祇信仰や自然崇拝を中核とした自然神道や古神道)
■神道3.0
(自然神道を核とし国家神道を内在的に批判突破した神神習合や神仏習合や修験道をも内包する生態智神道)
●そして冠婚葬祭3.0へ
わたしは「仏教3.0」や「神道4.0」だけでなく「冠婚葬祭3.0」についても考えるべき時期が来ていると思います。「寺院消滅」や「神社消滅」が叫ばれている昨今ですが、制度疲労を迎えているのは、けっして日本仏教や神道だけではないのです。とりあえず、次のように考えてみました。
■冠婚葬祭1.0
(戦前の村落共同体に代表される旧・有縁社会の冠婚葬祭)
■冠婚葬祭2.0
(戦後の経済成長を背景とした互助会の発展期における冠婚葬祭)
■冠婚葬祭3.0
(無縁社会を乗り越えた新・有縁社会の冠婚葬祭)
いま、七五三も成人式も結婚式も、そして葬儀も大きな曲がり角に来ています。現状の冠婚葬祭が日本人のニーズに合っていない部分もあり、またニーズに合わせすぎて初期設定から大きく逸脱し、「縁」や「絆」を強化し、不安定な「こころ」を安定させる儀式としての機能を果たしていない部分もあります。
いま、儀式文化の初期設定に戻りつつ、アップデートの実現が求められています。「冠婚葬祭3.0」、さらには「冠婚葬祭4.0」の誕生が待たれているのです。サンレーグループがその産婆となるべく、がんばりましょう。
しがらみと見栄と無縁を乗り越えて
新たに拓く有縁(うえん)の儀式 庸軒