2017
10
株式会社サンレー

 代表取締役社長

  佐久間庸和

ヴィラルーチェOPEN!

  いま、お祝いの意味を考える

●ヴィラルーチェのOPEN
 9月29日、ついに松柏園ホテル新館「ヴィラルーチェ」の竣工式が行われました。北九州にこれまで存在しなかったスタイリッシュなアーバンリゾート・ウエディングを提供することができます。必ずや、大きな話題を呼ぶことでしょう。
 また、正面玄関を国道に向けることができました。車寄せもゆったり取って、松柏園のイメージは一変したと言ってよいでしょう。
 何よりも嬉しいのは、本館と新館が連結したので、これまでのようにチャペルが離れているという状態が改善されたことです。雨の日に傘をさして結婚式に向かう新郎新婦、車イスでたいへん不便な思いをされているお客様の姿を見るたびに心を痛め、「申し訳ないなあ」と思っていましたので、嬉しくてなりません。本当に良かったです。

●サンレー50周年祝賀会
 オープンするのは冠婚施設だけではありません。この10月、「新宮紫雲閣」「日田紫雲閣田島館」「くさみ三礼庵」という3つの葬祭施設がオープンします。来月も、紫雲閣および三礼庵のオープン・ラッシュが控えます。
 ちなみに「紫雲閣」と別ブランドで展開する「三礼庵」は「本当の家族葬」の提供をめざしています。「三礼」とは、「つつしみ」「うやまい」「おもてなし」の三つの礼の心を表わします。紫雲閣と三礼庵あわせて、施設数が100を超える日も遠くないでしょう。
 そして、いよいよサンレーグループ創立50周年記念祝賀会が開催されます。10月25日には冠婚葬祭互助会関係者のみなさま、26日には地元である北九州市のみなさまをご招待して、ニュー松柏園で盛大に開催されます。今までさまざまな出来事がありましたが、ここまで来られたのは社員の皆様のおかげです。心から感謝しております。

●「祝う」という営み
 というわけで、わが社はすっかり「お祝い」ムードに包まれています。じつは、わたしは、「祝う」という営み、特に他人の慶事を祝うということが人類にとって非常に重要なものであると考えています。
 なぜなら、祝いの心とは、他人の「喜び」に共感することだからです。それは、他人の「苦しみ」に対して共感するボランティアと対極に位置するものですが、両者とも他人の心に共感するという点では同じです。
  「他人の不幸は蜜の味」などと言われる。たしかに、そういった部分が人間の心に潜んでいることは否定できませんが、だからといって居直ってそれを露骨に表現しはじめたら、人間として終わりです。社会も成立しなくなります。他人を祝う心とは、最高にポジティブな心の働きであると言えるでしょう。
 わたしも冠婚葬祭屋ですので、他人様のお祝いをするのが大好きです。自分が祝われるのは、正直ちょっと苦手ですが・・・・・・。

●セレモニーは「人生の駅」
 わたしたちは、人生で数多くの「お祝い」に出会います。三日祝い、お七夜、名づけ祝い、お宮参り、お食いぞめ、初誕生、初節句、七五三祝いなど、子どもの成長にあわせて、数多くのお祝いがあります。さらには成人式や長寿祝いもありますし、何といっても結婚式がありますね。
 思うに、人生とは一本の鉄道線路のようなもので、山あり谷あり、そしてその間にはいくつもの駅があります。「ステーション」という英語の語源は「シーズン」に通じるように思います。
 季節というのは流れる時間に人間がピリオドを打ったものであり、鉄道の線路を時間にたとえれば、まさに駅はさまざまな季節です。そして、儀礼を意味する「セレモニー」も「シーズン」に通じます。
 七五三や成人式、長寿祝いといった通過儀礼とは人生の季節、人生の駅なのです。

●誕生日を祝う
 20歳の成人式や60歳の還暦などは、セントラル・ステーションのような大きな駅と言えるでしょう。各種の通過儀礼は特急や急行の停車する駅です。
 では、各駅停車で停まるような駅とは何か。誕生日が、それに当たるのではないでしょうか。老若男女を問わず、誰にでも毎年訪れる誕生日。この誕生日を祝うことは、その人の存在価値を認めることです。
 別に受賞や合格といった晴れがましいことがなくとも祝う誕生日。それは、わが社のミッションである「人間尊重」そのものの行為です。わが社では、毎月の社内報に全社員の誕生日を掲載して、「おめでとう」の声をかけましょう、と呼びかけていますね。
 みなさんの家庭では、家族の誕生日に「おめでとう」と声をかけたり、プレゼントを贈ったり、ご馳走を食べたりすることと思います。会社でも、仲間の誕生日を祝いたいですね。

●「祝い」は「呪い」の反対
 「祝い」という行為には、ものすごい力があります。「祝」に似た字に「呪」がありますが、どちらも「兄」とつきます。漢字学の第一人者だった白川静によれば、「呪」も「祝」も神職者に関わる字であり、「まじない」の意味を持ちます。
 「呪い」も「祝い」ももともと言葉が「告(の)る」つまり「言葉を使う」という意味であり、心の負のエネルギーが「呪い」であり、心の正のエネルギーが「祝い」ということです。ネガティブな「呪い」を解く最高の方法とは、冠婚葬祭に代表されるポジティブな「祝い」を行うことなのです。
 わが社の冠婚施設では、結婚披露宴のみならず、長寿祝い、厄除け祝い、還暦祝いなどが開かれ、多くの方々が参加しています。
 これからも、「おめでとう」と「ありがとう」の声が行き交うハートフル・ソサエティの実現をめざして頑張りましょう!

 おめでとう祝ふ言葉は
     暗闇を明るく照らす幸せの窓  庸軒