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一条真也
「自分のお墓をどうするか」
中国に行ってきた。兵馬俑を見学した翌日、西安から上海に向かった。上海で訪れたのは、中国初の大型公園墓地である「福寿園」だ。
1995年に開園した福寿園は、上海市と民間企業である福寿園国際集団との第三セクター方式で造られている。土地を上海市が提供し、墓園の造成と販売を民間が行うというスタイルである。
23.3ヘクタールの広大な面積の霊園は多くの植栽と四季の花々に包まれ、あちらこちらで水の流れる水路や噴水も目にすることができる。
「東洋で最も美しい霊園」と呼ばれ、故人の銅像がたくさん立ち並ぶ。施設としては儀式ホール、レストラン、納骨堂、博物館などがある。
また、樹木葬はもちろん、花壇の土に遺灰を撒いた「花葬」、レンガの壁を墓標代わりにした「壁葬」、ステンドグラスを墓標にした「ガラス葬」などの多様なスタイルがあって、興味深かった。唯物論の共産国家である中国に、このような立派な霊園が存在することは、人間には死者を弔う本能があるのではとさえ思う。
日本では、お墓の継承者が減り、お墓の在り方が大きく変化している。「自分のお墓をどうするか」考えざるを得ない時代になった。
お墓が「家墓」から「個人墓」に変化してきている。つまりお墓が「家」のものから、「個人」のものに変容してきているのだ。かつてはお墓の中に、いくつもの遺骨が入っているのは当たり前だった。長男の嫁であれば、死んだら嫁ぎ先の墓に入ることに誰も疑問を持たなかった。
しかし、今はどうか。「死後は、夫と同じお墓に入りたくない」という女性が増えている。また長男といえども、先祖のお墓ではなく自分らしいお墓に入りたいと願う人も多い。お墓も大家族型から、核家族化してきたということである。
ここには少子高齢化や無縁社会の問題も含まれている。そのへんの事情は拙著『墓じまい・墓じたくの作法』(青春新書)をご一読あれ!