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一条真也
「秋の夜長は本を読もう!」

 

 読書の秋である。今年の読書週間も、「文化の日」を中心にした10月27日から11月9日までの2週間だ。
 わたしは約125万部の発行部数を誇る毎日新聞系の『サンデー新聞』に「ハートフル・ブックス」という書評コラムを連載している。
 先日、連載が100回に達した記念イベントを行った。まず、西日本最大級の書店「ブックセンタークエスト小倉本店」で「一条真也のハートフル・ブックス展」を開催。一ヵ月にわたって、わたしがコラムで取り上げた100冊を展示販売した。
 また、「読書の楽しみ」をテーマに講演も行った。満員の聴衆を前に、冒頭、わたしは本が大好きで、とにかく毎日読んでいることを語った。
 もちろん経営者としてビジネス書も読むが、その他にも歴史や哲学や科学の本、それに小説やマンガなど、とにかく何でも読む。
 本ほど、すごいものはない。自分でも本を書くたびに思い知るのは、本というメディアが人間の「こころ」に与える影響の大きさである。
 少年時代に読んだ偉人伝の影響で、冒険家や発明家になる人がいる。1冊の本から勇気を与えられ、新しい人生にチャレンジする人がいる。
 1冊の本を読んで、自死を思いとどまる人もいる。不治の病に苦しみながら、1冊の本で心安らかになる人もいる。そして、愛する人を亡くした深い悲しみを1冊の本が癒やしてくれることもあるだろう。
 本ほど、「こころ」に影響を与え、人間を幸福にしてきたメディアは存在しない。わたしは、本を読むという行為そのものが豊かな知識のみならず、思慮深さ、常識、人間関係を良くする知恵、ひいてはそれらの総体としての教養を身につけるための営みであると考える。
 わたしが企業経営者として、大学客員教授として、そして作家として、なんとかやっていけるのも、すべて本のおかげ。読書で得た教養は、あの世にも持っていけるように思える。
 秋の夜長は、どんどん本を読もう!