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一条真也
横浜フューネラル対談

 

 全互協主催のトークショーに出演した。パシフィコ横浜での「フューネラルビジネスフェア2016」の企画だ。対談相手は仏教界きっての論客で知られる全日本仏教青年会顧問の村山博雅氏である。テーマは「葬送儀礼の力を問う~葬儀の本質とは」だった。
 村山氏は曹洞宗「東光院」の副住職で、全日本仏教青年会の第18代理事長として活躍された。「第1回世界仏教優秀指導者賞」も受賞された日本仏教のニューリーダーの一人である。トークショーの前にご本人と打ち合わせを行ったが、大変な論客であった。
 わたしは、「無縁社会」や「葬式は、要らない」などの言葉が登場した背景には、日本仏教界の制度疲労にも一因があるように感じると申し上げた。
 アマゾンの僧侶派遣サービスに対して全日本仏教会が抗議をしたが、あれはスルーするというか、放置しておけば良かった。社会に必要なものは残るし、必要でないものは残らないからだ。執拗に互助会批判を繰り返す業界もあるが、互助会は社会に必要であるからこそ、現在でも隆盛を誇っているのである。
 現代日本の仏教界を見ると、檀家の暮らしぶりに応じて、高額な「御布施」「戒名料」を提示する寺も少なくない。むしろアマゾンの僧侶派遣、イオンの寺院紹介の方が明瞭かつ低額で良心的と考えている消費者もいるかもしれない。
 ここは、互助会の出番ではないだろうか。せっかく多くの会員様がおられるのだから、各互助会は普段から会員様に情報公開し、理想的な葬儀についてのオリエンテーションを行うべきであろう。
 いま、互助会に与えられた課題は二つあるのではないだろうか。「死者の尊厳を守ること」と「生者のコミュニティをつくること」である。これは日本復興の重要ポイントでもあるのだ。(一条真也)
2016.8.20