第36回
佐久間庸和
「ともいき倶楽部」
北九州市の最大の特徴とは何だろうか。
それは、高齢者が多いことである。住民基本台帳人口要覧によれば、約97万人の人口に対して、65歳以上の高齢者の比率は平成27年3月末で28.2%となっている。この高齢者比率は、全国に20ある政令指定都市の中で最も高い数字である。
日本は世界で最も高齢化が進行している国だが、その中でも北九州市は最も高齢化が進行している政令指定都市なのである。つまり北九州市は「世界一の超高齢化都市」だといっても過言ではない。
その多くの高齢者が生活する北九州市において「老い」が不幸だとしたらどうなるか。北九州市は不幸な人間が最も多い世界一不幸な街になる。逆に、「老い」が幸福だとしたら、世界一幸福な街になるのである。
北九州市を「世界一幸福な街」にするために、サンレーでは新しい試みを行っている。
昨年10月にスタートした「ともいき倶楽部」もそのひとつだ。
この会は「人は老いるほど豊かになる」という信条のもと、65歳以上の方がお互いに「正しい養生」で支え合うことを目的として発会したものである。
「ともいき(共生)」とは共に助け合い、共に生きることを意味している。
主宰するサンレーは冠婚葬祭互助会だが、「ともいき倶楽部」はまさに互助会の「相互扶助」の精神を体現するものだと言えう。
サンレーでは、これまでも「隣人祭り」を通じて地域の縁、「地縁」を大切にした活動の支援をしてきたが、今回の「ともいき倶楽部」は、本格的に到来する長寿社会に向けてお年寄りが互いに支え合い、健康寿命を延ばして「健康で百歳」を合言葉に後期高齢を「光輝好齢」としていく活動なのである。
活動の場は、「平成の寺子屋」と呼ばれる小倉北区上富野三丁目の天道館。ここで毎月第2木曜日の「ともいきの日」に、「お笑い」を中心とするイベントを開催している。
現在、地域の老人クラブ、婦人会など、高齢者の各種団体からも多くの方々にご参加いただいている。そこで意気投合した方々が囲碁や健康体操などの自主的な活動で天道館を有効に活用していただきたいと願っている。
高齢者の中には外出せずに、ずっと家にひきこもっている方も多いように思う。
一人暮らしの場合、それは孤独死につながる危険性もある。
ぜひ、お互いに誘い合って「ともいき倶楽部」に参加していただきたい。多くの方々が「人は老いるほど豊かになる」と実感してくれれば、こんなに嬉しいことはない。