第84回
一条真也
『こころのふしぎ なぜ?どうして?』

 村山哲哉監修(高橋書店)

 昨年フジテレビ系「めざましテレビ」で紹介された本です。正続2冊ありましたが、早速書店で購入して読了しました。
 高橋書店の「楽しく学べるシリーズ」には「かがくのふしぎ」「しゃかいのふしぎ」「さんすうのふしぎ」「ことばのふしぎ」といった児童書がありますが、本書もその中の一冊です。児童書としては異例のベストセラーになっています。
 帯の裏には、監修者である文部科学省・教科調査官の村山哲哉氏の以下の言葉が紹介されています。
 「この本は、説明に困る、身近な『心』にまつわる疑問に、すっきり答える一冊です。もちろん、答えは1つではありませんが、親子で話して考えるきっかけにしていただけると幸いです」
 一読して、わたしは「良く出来ているなあ」と感心しました。さすがは現役の文部科学省の教科調査官が監修しただけのことはあります。
 本書は「心のふしぎ」「いのちのふしぎ」「かぞく・ともだちのふしぎ」「ルールのふしぎ」「やさしさのふしぎ」の5つの章に分かれており、全部で58の質問があります。
 わたしが特に「答えが素晴らしい」と思ったのは、以下の10の質問です。
●テレビに出てくるような「せいぎのみかた」って、どこにいるの?
●気もちを上手にことばにするには、どうしたらいいの?
●どうして、歌を歌いたくなるの?
●ごはんの前に「いただきます」って言うのは、なんで?
●いじめられたら、どうしたらいいの?
●べんきょうができない。これって、わるいことなの?
●おじいちゃん、おばあちゃんに手紙を書きたい! 何て書けばいい?
●花に「きれい」って言いつづけると、きれいにさくって本当?
●電車でおとしよりがいたら、せきをゆずらないといけないの?
●こまっている人をたすけたい。どうすればいい?
 その答えがどういう内容かは、敢えてここには書きません。ぜひ、ご自分で本書を手に取って確認されて下さい。「こんな答え方があるんだ!」「これなら、子どもだって納得するはず!」と思われることでしょう。

 子どもだけではなく、親を含んだ大人たちでも腑に落ちる内容になっています。
 しかし、全体的に「死」に関連するテーマの説明は弱い印象を受けました。「死」に特化した児童書も面白いと思います。

 わたしが書いてもいいですけど・・・・・・。