第22回
佐久間庸和
「支え合いの街づくり」

 

 先日、黒崎コムシティで、NPO法人北九州ホームレス支援機構の奥田知志理事長と公開で特別対談を行った。

 同い年の奥田理事長とは、もう何度もシンポジウムなどでご一緒している。互いの道は違えども、ともに無縁社会に挑み続ける同志だと思っている。

 対談のテーマは「支え合いの街づくり」で、学園&地域交流ネットワーク設立10周年記念イベントとして開催された。会場には定員を超える多くの方々が訪れ、超満員になった。

 聴覚障害者の方々のために手話通訳者が用意され、対談速記がプロジェクターに投影された。NHKや新聞各社も取材に訪れ、注目度の高さに驚いた。

 現在、日本は、65歳以上の高齢者が4人に1人という超少子高齢社会である。

 高齢化率の高さでいえば、日本は世界一であり、北九州市は、政令指定都市の中で一番である。つまり、世界一高齢化率が高い都市ということになる。
 最近、「2030年問題」なるものがよく取り上げられる。

 今から16年後の2030年、平成42年には、高齢者が3人に1人になると予測される。

 高齢化に伴い、認知症も急増する。その結果、思いがけず事故や事件になることが危惧されているのだ。

 また、未婚、離婚、死別等による「単身者世帯」が多くなり、孤立する人や、孤独死が急増すると言われる。

 さらに、国の在宅介護の強化により、老老介護や介護者不足なども深刻な問題である。

 このように、「超少子高齢社会」には切実な問題が山積みしているわけだ。そこで、そんな社会を生き抜くためにはどうすべきか、奥田理事長とわたしは大いに語り合った。

 わが社は「隣人祭り」をはじめ、さまざまな事業や活動に取り組んでいる。これまでの企業は「社会に良いことをしてももうからない」と言われていた。

 しかし、これからの企業は「社会に良いことをしないと生き残れない」時代だと思う。北九州市には、社会に良いことをしている企業がたくさんある。

 また、高齢者や被災者の方々を支える「思いやり」のある人々がたくさんいる。北九州市は、日本一の「支え合いの街」になれるのではないだろうか。

 泣いても笑っても、人生は一回きり。その人生を卒業するときに「ああ、この街で生きることができて良かった」と言いたいものだ。

 北九州市に住むわたしたちは、「支え合いの街」をつくりたい。この街は、日本いや世界のモデル都市になる可能性を持っている。