南波克行編著(フィルムアート社)
誕生日が来て、わたしは51歳になりました。いつも誕生日が来るたびにしつこいぐらいに言っているのが、トム・クルーズがわたしの一つ年上で、ブラッド・ピットとジョニー・デップが同い年、そして、キアヌ・リーブスが一つ年下ということです。「それで?」と言われれば、困ってしまいますが。(苦笑)
この華麗な顔ぶれの中でも、わたしの一番のお気に入りはトム・クルーズで、彼が出演する多くの映画を観てきました。
トム・クルーズは難読症(失読症=ディスクレシア)であり、それを乗り越えたことが紹介されます。トムはこの障害について隠そうとしませんでした。
本書には、「先達から現場で学ぶ力」として、20代後半~30代のトムが大先輩から徹底的にさまざまなことを吸収した様子が描かれています。「トップガン」と同じ1986年に公開された「ハスラー2」で、トムはベテラン俳優のポール・ニューマンと共演します。二人はとても親密な関係を築き、トムはニューマンから「成功に惑わされない心の余裕」を学びました。
続いて、トムはもう一人の大先輩との共演を果たします。ダスティン・ホフマンです。名作「レインマン」(1988)でホフマンと共演したトムは、何を学んだのでしょうか。それは、「映画にとって何がベストかを知る」ということでした。
「相手の話をよく聞く」というのがトムの特質ですが、それは難読症の経験とも無縁ではないでしょう。わたしは、ここに「禍転じて福となす」というか「何事も陽にとらえる」というか、トムの前向きな生き方に深い感動をおぼえました。
ちなみに、「ハスラー2」でポール・ニューマンは生涯初めてとなるアカデミー主演男優賞を受賞しました。「レインマン」でも、ダスティン・ホフマンはアカデミー主演男優賞を受賞したのみならず、作品賞、監督賞、脚本賞の主要部門を独占しています。二人とも、トム・クルーズと共演したことによって、俳優として頂点を極めたのです。トムは、自分に「学び」を与えてくれた先輩たちに最高のお礼をしたのでした。
本書を読んで、わたしはますますトム・クルーズが好きになりました。もう、「50代のオヤジだから」などと腐らずに、トムのように前向きに自分のキャリアを自分自身で作りたいと思います。
そして、そのためには、トムのように「他者から学ぶ」ということを大切にする必要がありますね。トム・クルーズの次回作が今からとても楽しみです。