第20回
佐久間庸和
「笑う門には和が来る」

 

 この4月、今年も、わが社に多くの新入社員が入社してきた。

 会社を活性化させるのは若い力であるが、それには上司や先輩のサポートが欠かせない。ベテランとルーキーの力が合わさってこそ、会社の発展がある。

 孔子が開いた儒教では「孝」というものを重視しました。「孝」は「老」と「子」という2つの文字から成っている。

 「老」すなわち先輩・年長者と、「子」すなわち後輩・年少者とが断絶することなく、連続して1つに結ぶという意味である。

 企業繁栄のためには「継続」と「革新」の両方が必要であると唱えたドラッカーの考え方とも一致する。

 それでは、ベテランとルーキーが心を通わせ、「孝」を実現させるにはどうすればよいか。そのキーワードは、ずばり「和」だろう。 
 「和」というコンセプトを最初に打ち出したのも、じつは孔子だ。『論語』には、聖徳太子の「和を以て貴しとなす」のルーツになった言葉が登場する。日本を「大和」と呼ぶように、「和」は日本人にとって最も大切なものとされる。

 3月9日、宇宙飛行士の若田光一さんが、国際宇宙ステーション(ISS)の新船長に就任した。日本人としては初の快挙である。記者会見の場で、若田さんは「和の心を持って舵取りをしたい。チーム全員でいい仕事をできるように頑張っていきたい」と意気込みを述べた。

 記者会見では、日本人記者から「船長の特権で何かしたいことはありますか?例えば、食事のメニューを決定するとか、ベッドを大きくするとか?」といったユニークな質問が飛び出した。

 それを聞いて一瞬きょとんとした表情をした若田さんは、次の瞬間、大笑いした。まさに破顔一笑でしたが、それから「食事のメニューを決められたらいいですけど、残念ながら、そんな権限はないんですよ」とニコニコしながら答えていた。その笑い方の豪快なこと! また、その笑顔の魅力的なこと!わたしは一発で、若田さんの大ファンになった。
 そして、その「笑い」と「笑顔」こそが彼の言う「和」の心に通じているのだと気づいた。「笑う門には福来る」という言葉があるが、「笑う門には和が来る」でもある。そう、「笑い」とは「和来」なのだ!

 「和」は「わ」と読むが、「なごみ」とも読む。リーダーにはユーモアが必要である。なぜなら、ユーモアは組織の雰囲気を和ませるからだ。

 笑いと笑顔こそが職場の「和」を生む。ということで、わたしもユーモアを発揮できる人間でありたい。