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一条真也
ビルマ日本人墓地
最近、ミャンマーを訪問した。わたしは現在、北九州市の門司にある日本唯一のミャンマー式寺院「世界平和パゴダ」運営の支援をしている。その関係で、かの地を訪れたのである▼念願だった「ビルマ日本人墓地」参拝も果たした。ここにはビルマ戦線で亡くなった方々の墓地が並んでいる。じつに19万人におよぶ日本人がビルマで命を落としたという▼両国の歴史的関係というと、『ビルマの竪琴』や「インパール作戦」に代表される太平洋戦争が思い浮かぶ。しかし、実際にはもっと古くから日本人がビルマに来ていた▼明治期の墓は女性、それも長崎県をはじめとする九州の出身者が多い。「からゆきさん」と呼ばれた彼女たちをはじめ、昭和の兵隊さん、その他のすべてのミャンマーで亡くなった日本人の孤独が心に突き刺さった▼わたしは数珠を持って合掌しながら、「このビルマの地は、お釈迦様の生誕地に近く、また尊い教えにも近い上座部仏教の国ですよ。この南の楽園で、どうか安らかにお眠り下さい」と心からの祈りを捧げた▼最後は、「ふるさとを遠く離れて眠る地は仏陀に近き南方楽土」の歌を詠んだ。日本人墓地には美しいブーゲンビリアの花が咲き乱れ、まるで本物の楽土のように思えた。(一条)
2013.6.10