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一条真也
おくりびとの日
このところ、業界の大先輩の葬儀に続けて参列した。2月18日には北九州で、4月5日には仙台で、同月12日には冠婚葬祭互助会発祥の地である横須賀で、それぞれ盛大に社葬が執り行われた▼みなさん、同じ業界に生きるという「業縁」のある方だった。社葬の当日は、全国から多くの互助会の社長さんたちが来られていた。わたしは、多くの「おくりびと」に送られて、故人はさぞ喜んでおられるだろうと思った▼アカデミー外国語映画賞を受賞した「おくりびと」が話題になった。映画のヒットによって「おくりびと」という言葉が納棺師や葬儀社のスタッフを意味すると思い込んだ人が多いようだ▼しかし、それは違う。「おくりびと」の本当の意味とは、葬儀に参加する参列者のことである。人は誰でも「おくりびと」、そして最後には、「おくられびと」になる。一人でも多くの「おくりびと」を得ることが、その人の人間関係の豊かさを示す▼豊かな人間関係に恵まれて、人生を堂々と卒業していかれた業界の大先輩たち。いずれの社葬も、素晴らしい旅立ちの儀式であった。その日、わたしも一人の「おくりびと」になった。今日の互助会業界を築いて下さった先輩方の御冥福を心よりお祈りいたします。合掌(一条)
2012.4.10