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一条真也
危機について
社会貢献基金の助成金授与式に出かけた尾道で右足首を骨折した。不注意から石段を踏み外したのである。まったく人生は何が起こるかわからない。まさに人生における「想定外」だ▼しかし、被災された方々に比べれば、私の「想定外」など問題にもならない。このたびの東日本大震災こそは、まさに日本および日本人にとって想定外の出来事であった▼英語の「クライシス」は、そもそも「分岐点」という意味である▼私が石段で足を踏み外し骨折したのもクライシスであり、分岐点だった。あのまま石段を転げ落ちて頭を打って絶命していた可能性もあったからである。こういうときは、「足の骨折ぐらいで済んで良かった」と考えなければならない。▼日本もしかり。原発事故にしろ、さらに最悪の事態となった可能性もある。危機は、個人や国家だけでなく、企業や業界にも訪れる。大切なのは、危機に遭遇しても、けっして悲観的になってはならないということ。危機感は必要だが、悲壮感は不要だ▼どんな業界にも解決すべき問題が多々あるが、「この業界に未来はない」などと騒ぎ立ててはならない。「大変な時代になったが、これだけのことをやれば大丈夫」という生き残るための明確な指針が必要であろう。(一条)
2011.6.10