2011
07
株式会社サンレー

代表取締役社長

佐久間 庸和

「高まる結婚願望 

 大いに家族の絆を強めよう!」

「結婚したい」人急増

 ある新聞に、「『結婚したい』震災後急増」という記事が出ていました。東日本大震災をきっかけに、生涯のパートナーが欲しいと思う人が増えているというのです。
 結婚情報紹介サービス会社への資料請求件数が増加し、デパートのアクセサリー売り場では婚約指輪の売り上げが前年に比べて四割も増えているとか。大震災で家族の「絆」の大切さが見直され、婚約指輪は絆の「かたち」だというのが人気の理由です。
 東京都内に住む一人暮らしの女性は、「将来への不安が膨らみ、家族を作ることの大切さを痛感した。人と絆を結ぶ努力がしたい」と新聞で語っていました。
 まさに、「結婚」とは「男女の結びつき」であるだけでなく、「家族を作ること」なのだと再確認しました。

結婚とは結魂である

 わたしは、結婚には不安に揺れ動く「魂」を安定させる力があると思っています。
 古代ギリシャの哲学者・プラトンは、元来一個の球体であった男女が、離れて半球体になりつつも、元のもう半分を求めて結婚するものだという「人間球体説」を唱えました。元が一つの球であったがゆえに湧き起こる、溶け合いたい、一つになりたいという気持ちこそ、世界中の恋人たちが昔から経験してきた感情です。そして、精力的に自分の片割れをさがし、幸運にも恵まれ、そういう相手とめぐり合えたならば、言うに言われぬ喜びが得られることをプラトンは教えてくれました。
 わたしは、プラトンのいう球体とは「魂」のことであったと確信しています。「結婚」によって、元来は一つのものだった「魂」の片割れ同士が再び結びつくのです。すなわち、「結婚」とは「結魂」なのです。

結婚は最高の平和である

 わが社では、「結婚は最高の平和である」という言葉を大切にしています。
 トルストイの有名な小説の影響もあり、「戦争」と「平和」は反対語だと思われています。しかし、「平和」という語を『広辞苑』などの辞書で引くと、意味は「戦争がなくて世が安穏であること」となっています。平和とは戦争がない状態、つまり非戦状態のことなのです。でも、戦争というのは状態である前に、何よりもインパクトのある出来事です。単なる非戦状態である「平和」を「戦争」という強烈な出来事の反対概念に持ってくるのは、ちょっと腑に落ちません。
 また、「結婚」の反対は「離婚」と考えられています。これも、離婚というのは単に法的な夫婦関係が解消されただけのことです。「結婚」は戦争同様、非常にインパクトのある出来事です。

結婚に働く「親和力」

 戦争と結婚には、大きな共通点があります。それは、別にしなくてもいいのに、好き好んでわざわざ行なう点です。戦争も結婚も、ともに人間の強い意志をともなう「出来事」であり、「事件」なのです。
 結婚には、異なるものと結びつく途方もなく巨大な力が働きます。ゲーテは、それを「親和力」と呼び、「ひとりの人間をほんとうに心の底から愛すれば、ほかのすべての人にも好感を持てるようになる」という言葉を残しています。まさに、ゲーテは結婚の平和性に気づいていたのです。
 一方で、戦争が起こるときにも、ある力が働きます。それは、異なるものを破壊しようとするマイナスの力です。つまり、「結婚」とは親和の極致であり、その反対に「戦争」とは敵対の極致なのです。

「むすびびと」は何を結ぶか

 まったくの赤の他人同士であるにもかかわらず、人と人とが認め合い、愛し合い、ともに人生を歩んでいくことを誓い合う。まさに、結婚とは「最高の平和」ではないでしょうか。結婚は最高に平和な「出来事」であり、「戦争」に対しての唯一の反対概念です。
 わが社では、日々お世話させていただくすべての結婚式が「世界平和」という崇高な理念を実現する営みであるととらえています。そして、冠婚スタッフである「むすびびと」一同が心からのサービスに努めています。「むすびびと」は、新郎新婦の縁を結び、家族の絆を結ぶお手伝いをしているのです。
 わたしは、そのような結婚についての考え方を『結魂論』(成甲書房)や『むすびびと〜こころの仕事』(三五館)で書いてみました。機会があれば、ぜひ読んでみて下さい。

幸せになるために結婚する

 また、婚活と結婚式準備のために、『幸せノート』の監修をしました。
 人間の「幸せ」とは何でしょうか?
 「人間」という字は、人は一人では生きてゆけない存在だということを示しています。人と人との間にあるから「人間」なのですね。
 だから、「人間」よりも「人間関係」が問題になります。そして、あらゆる人間関係の中でも、最も大切なものこそ「家族」という関係です。その「家族」の基本となるものが「夫婦」ということになります。
 昨年、「無縁社会」という嫌な言葉が流行しました。少子高齢化に加えて、生涯非婚人口も増え続けています。
 このままでは多くの日本人が孤独死あるいは無縁死することが予想されます。もっとも大切な絆こそ「夫婦」であり、「家族」であることは言うまでもありませんね。やはり、「結婚」こそ「幸せ」への王道なのですね。
 何だかんだと言っても、結婚する理由とは、きわめてシンプル。それは古今東西、幸せになるためなのです!

 愛し合ふ二人の縁が結ばれて   
     家族の絆ここに強まる  庸軒