2011
05
株式会社サンレー

代表取締役社長

佐久間 庸和

「中部紫雲閣オープン

 沖縄力で日本復興を!」

社員でなく同志

 東日本大震災から一カ月以上が経過しましたが、死者の数はまだ増え続けています。そんな中、わが社にも埋葬サポートの要請が来ました。志願者を募ったところ、なんと70名も集まりました。さらに、家族の同意も得た14名のメンバーが選出されました。
 大事な社員を被災地に派遣するのは、正直言って心配です。しかし、みんな快く引き受けてくれたことが嬉しかったです。誰もが、わが社の「人間尊重」というミッションをよく理解してくれ、少しでも大震災の犠牲者の人間の尊厳を守ろうと考えたのです。十四名の派遣スタッフをはじめ、70名の志願者のみなさん、そして彼らをサポートする他の社員のみなさんも、会社の社員というよりも「天下布礼」の同志であると痛感しました。本当に、ありがとうございます。

内閣官房からのミッション

 先日、内閣官房の内閣情報分析官の方から電話がありました。その方は、『隣人の時代』(三五館)を読まれて、感銘を受けられたそうです。そして、わたしの話を直接聞きたいということで、わが国が抱えている多様な問題について意見を求められました。かなりの時間を電話で話しましたが、その方の示される問題がすべて、いつもわたしが考えているテーマばかりだったので驚きました。
 数日後、早速その方と東京でお会いしました。そして、わたしは重大なミッションを与えられました。その内容のすべてをここに明かすことはできませんが、その中の一つは「隣人祭り」に関わることです。
 福島第一原発の事故により、福島のコミュ二ティが崩壊の危機に晒されています。ずばり、わたしに福島の避難所で「隣人祭り」を開いてほしいというのです。
 それを成功させれば確実に全国から注目され、国をあげて各地で「隣人祭り」が開催される可能性が高くなります。まずは、東電幹部向けに「隣人祭り」の講演をしてほしいとのことでした。

日本復興のための二つの糸

 このようにサンレーは、「死者の尊厳」と「生者のコミュニティづくり」という二つの課題を与えられています。これは、そのまま日本復興にとっての重要ポイントとなります。
 現代人は、さまざまなストレスを抱えて生きています。ちょうど、空中に漂う凧のようなものです。そして、凧が安定して空に浮かぶためには糸が必要です。さらに安定して空に浮かぶためには縦糸と横糸が必要ではないかと思います。
 縦糸とは時間軸で自分を支えてくれるもの、すなわち「先祖」です。また、横糸とは空間軸から支えてくれる「隣人」です。
 この二つの糸があれば、安定して宙に漂っていられる、すなわち心安らかに生きていられる。これこそ、人間にとっての真の「幸福」の正体ではないかと思います。
 ブータンの人々は宗教儀礼によって先祖を大切にし、隣人を大切にして人間関係を良くしている。だから、しっかりとした縦糸と横糸に守られて、世界一幸福なのです。

先祖と隣人と暮らす

 ブータンの人々が世界一幸福な人々なら、日本一幸福な人々とは誰でしょうか。わたしは、沖縄の人々ではないかと思います。
 沖縄の結婚式も葬儀も、日本で最も多くの人々が参列します。沖縄では、人間関係というものが何よりも優先され、冠婚葬祭でのつきあいが最重視されるのです。
 また沖縄の人々は、日本中のどこよりも先祖と隣人を大切にします。
 わたしたちが幸せに生きるためには、どうすべきか。わたしは、何よりも、先祖と隣人を大切にすることが求められると思っています。
 まず、死者を忘れないということが大切です。わたしたちは、いつでも死者とともに生きているのです。死者を忘れて生者の幸福など絶対にありえません。最も身近な死者とは、多くの人にとって先祖でしょう。先祖をいつも意識して暮らすということが必要です。
 もちろん、わたしたちは生きているわけですから、死者だけと暮らすわけにはいきません。ならば、誰とともに暮らすのか。まずは、家族であり、それから隣人ですね。

日本復興のためには沖縄復帰を!

 沖縄の人々は、ブータンの人々と同じく、その「こころ」に血縁の縦糸と地縁の横糸をしっかりと張っているのです。だから、どんな苦難にも「なんくるないさ〜」と言いながら、生きることができるのかもしれません。
 しかも、沖縄がすごいのはそれだけではありません。沖縄の人々がよく使う「いちゃりばちょーでい」という言葉は、「一度会ったら兄弟」という意味です。沖縄では、あらゆる縁が生かされるのですね。まさに「袖すり合うも多生の縁」は沖縄にあり!「守礼之邦」は、大いなる「有縁社会」なのです。
 すべての日本人が幸せに暮らすためのヒントが沖縄にはたくさんあります。今こそ、すべての日本人は「沖縄復帰」するべきです。そして、幸福力としての「沖縄力」を身につけなければならないと思います。
 大震災後、東京などから沖縄へ移住する人が増えているそうです。今年から大分事業部および宮崎事業部は沖縄に本社を移し、サンレーは北九州、北陸、沖縄の三本部制となりました。また、4月19日には待望の「中部紫雲閣」が沖縄県沖縄市についにオープンしました。
 「隣人の時代」は「沖縄の時代」です。ぜひ、沖縄力で日本復興を成し遂げましょう!

 くじけずに なんくるないさ言ふこころ
   いま沖縄(うちなー)が大和(やまと)救へり  庸軒