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一条真也
冠婚葬祭の感動実話

 

ある結婚間近のカップルがおられたが、男性が事故で亡くなられた。母親と彼女の要望で、湯灌終了後、故人にタキシードをお着せした。そして、ウエディングドレスを着た彼女と正装した母親の二人は故人を抱き起こし、三人で記念撮影を行った▼わが社で実際にあった実話である。映画「おくりびと」が世界中の人々の心を打ったが、冠婚葬祭とは「愛」と「死」のセレモニーに他ならない。そこには「思いやり」「感謝」「感動」「癒し」など、さまざまな心がたくさん込められている▼お葬式のお世話をする「おくりびと」は故人の魂を送る人だが、結婚式のお世話をする人を、わたしは「むすびびと」と呼んでいる。新郎新婦の魂を結び、家族の絆を結ぶからだ▼日々、多くの「むすびびと」や「おくりびと」から心あたたまる話を聞き、そのたびに目頭を熱くしている。ぜひ多くの方々にも感動をお伝えしたいと思い、このたび2冊の本を上梓した▼『むすびびと~こころの仕事』(三五館)、『最期のセレモニー~メモリアルスタッフが見た、感動の実話集』(PHP)だ。冠婚も葬祭も、スタッフは年齢も男女も不問。求められるのは仕事魂と人間性だけ。冠婚葬祭業の真実の姿を描いてみた。ご一読を乞う。(一条)
2009年12月10日