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一条真也
中国人に教える論語
この4月より大学の客員教授を務めている。主に倫理思想を担当しているが、前期のテーマは「孔子研究」。学生の中には中国からの留学生も多い。中国の人に対して日本人の私が孔子や儒教について語るわけだ▼まことに不思議な気がするが、国費留学生を含む彼らはとても真剣に話を聞いてくれる。また、黒板の文字を一字残さず熱心にノートに写す。その熱意たるや日本人以上である▼日本における中国のイメージは、どうも最近良くない。いや、悪化する一方だ。毒入りギョーザをはじめとする食品の安全性の問題、世界中から注目を浴びているチベット弾圧など、中国への不信感は募るばかりである▼しかし、もともと「礼」や「信」といった思想は中国で生まれたのだ。「仁」や「義」も同様である。それらの思想を集大成した人物こそが孔子であり、その言行録が『論語』なのだ▼いま、中国では大変な孔子ブームという。最近来日した胡錦濤国家主席をはじめ多くの中国の人々が『論語』を愛読しているとか▼冠婚葬祭とは「礼」そのもの。私は、『論語』によってこれまで多くの大切なことを学んできた。中国からの留学生に「礼」や「信」を説くことは、孔子への最大の恩返しだと思っている。(一条)
2008年6月25日