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一条真也
使命と志
折口雅博という人に会ったことはない。共通の知人は多く、いつか会うべき人だとは思っていた。ジュリアナ東京やヴェルファーレなどの人気ディスコを仕掛け、介護事業に進出。あっと言う間に業界最大手に成長させた。時代を読む目と行動力はたしかに非凡だ▼父の会社が倒産し、生活は困窮をきわめたという。そのときの想いが、拝金主義へとつながったのか。売上げを伸ばすことが最優先で、利用者にとっては不要なサービスも追加するよう職員に命じた▼六本木ヒルズの本社、田園調布の豪邸、数々の高級外車、自家用ジェット機、次々に欲しい物を得た。軽井沢の別荘にはフットサルのコート、ボウリング場、プールを置いた▼尊敬する経営者はセコムの飯田亮氏。最大手のセコムの姿勢が警備業界に社会的信用をもたらしたというのだ。当の本人は介護業界の信用を決定的に落とした。やはり最大手の責任は大きかった。「コムスンで働いていたこと自体を記憶の中から消し去りたい」と元職員の言葉が悲しい▼「私が続けないと社会的使命が果たせない」と会見で述べた。著書では「志」を熱く語ったが、その正体は自身の「欲」だった。使命や志が本当にあるのなら、彼の今後の生き方で示す他はない。(一条)
2007年6月10日