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一条真也
地震列島

 

何が起こるかわからない世を実感した。あの地下鉄サリン事件から、ちょうど十年目の三月二十日。九州北部で大きな地震が発生した。おりしも全互協・九州ブロックでは、災害時における被災者への物資提供プロジェクトが進行中だった▼私は北九州市の自宅にいたが、書棚から本や置物が落ちてくる光景を生まれて初めて見た。この四半世紀に世界で発生したマグニチュード6以上の地震は千八百以上を数えるというが、そのうち一割強が日本で起きている▼やはりこの国では、大地震はどこででも起こると考えていた方がいい。専門家や政府の備えは首都圏に向きがちだった。予知が可能なのは東海地震だけといわれる。警戒の空白を突くかのように十年前には阪神を、昨年は新潟を、そして今回は九州北部を襲った▼二月、政府・中央防災会議が首都直下地震についての被害想定をまとめた。それによると、死者一万三千人、避難者七百万人。最悪の場合には、経済損失は国家予算を大きく超える百十二兆円にもなるという▼四季を持つ「美しい島国」日本とは、美しい自然が時にキバをむく「地震列島」でもある。わが街に大地震が起きた時にどうするか。互助会として常に考えなければならない問題だ。
2005年4月10日