第12回
一条真也
「挨拶するのは人の道」

 

 朝、起きたら、あなたは「おはようございます」と言っていますか。食事の前には「いただきます」と言っていますか。家庭で、学校で、職場で、きちんと礼をしていますか。すべての人間関係の基本は「礼」にあります。
 なぜ、人間は礼をするのでしょうか。多くの首相を指導した安岡正篤は、「本当の人間尊重は礼をすることだ。お互いに礼をする、すべてはそこから始まらなければならない」といいました。
 「経営の神様」といわれた松下幸之助も、何よりも礼を重んじました。彼は、世界中すべての国民や民族が、言葉は違うがみな同じように礼を言い、挨拶することを、人間としての自然の姿、すなわち「人の道」であるとしました。
 ところが、その人間的行為である「礼」を軽視する人がいます。挨拶もしなければ、感謝もしない。礼は「人の道」、いわば「人間の証明」であるにもかかわらず、お礼は言いたくない、挨拶はしたくないという人がいるのです。
 礼とは、そのような各人の好みの問題ではありません。人間であれば、必ずしなければならないものです。というより、自分が人間かどうかを表明する、きわめて大切な行為なのです。挨拶は、必ずしましょう!