2004
株式会社サンレー
代表取締役社長
佐久間 庸和
PHP研究所刊行
『諸君、もっともっと熱くなれ!』より(2004年1月)
やる気が湧き出る三つの魔法
私は毎日、必ず次の三つのことをします。
まず朝、朝礼のはじまる前に当社オリジナルの気功を社員全員で行います。当社はホテルや冠婚葬祭施設を展開するサービス業ですが、「気くばり」「気ばたらき」「気づかい」というように、「気」は「サービス」の精神に通じます。ですから、気功によって気を充実させた社員は、お客様に元気、陽気、楽しい雰囲気といったプラスの気を与えることができるのです。また私は、企業とは「気業」であり、経営者のもっている気が社員に乗り移る一個の生命体であると思っています。経営者が強気で陽気なら、強気で陽気な会社となり、その逆なら、弱気で陰気な会社となるのです。社長である私は、社員の誰よりもポジティブな気をもたなければなりません。そのため気功にも熱が入って、冬でも汗が出るほどです。
午前中にさまざまな仕事をこなしたあと、午後になって必ず行うのが「お客様アンケート」のチェックです。冠婚部門、葬祭部門に分かれて全国から数えきれないほど多くのアンケート・ハガキが社長である私のもとに届きます。すべてのハガキはお客様から当社へのラブレターととらえ、一枚ずつ一字一句をじっくり読ませていただきます。内容がクレームの場合、お客様に不愉快な思いをさせた申し訳なさと、大事なことを教えていただいた有難さで、ハガキに向かって手を合わせます。逆におほめの言葉をいただくこともあります。「サンレーさんにお願いして、本当に良かった」というような言葉に触れると、うれしくて涙が出ます。グッドコメントにせよバッドコメントにせよ、お客様からのメッセージを読むたびに当社のミッションが思い起こされ、心の底から「もっとお客様のお役に立ちたい」という強い想いが生まれてきます。
そして夕方になると、私は現場に出ます。そこで働く若い社員たちに話しかけます。みんな、無限にある選択肢の中から「縁」を得て、かけがえのない自分の未来を託して当社に入ってくれました。それだけでも感謝の気持ちで一杯ですが、彼らの仕事への情熱や夢についての話を聞くと、本当に元気が出ます。冠婚葬祭という人生の大舞台で、お客様の喜びを自分の喜びとし、お客様の悲しみを自分の悲しみとするピュアな社員たちを私は誇りに思います。
以上、朝の気功、お客様アンケートを読むこと、若手社員との会話、これらが私にとっての、やる気が湧き出る三つの魔法なのです。