第4回
一条真也
「お辞儀がきれいな人は得をする」

 

 小倉が生んだ礼法である小笠原流では、「思いやりの心」「うやまいの心」「つつしみの心」を表現する行為、「所作」を大切にしています。中でも最も重要なのが、相手に対し敬意や感謝の心を表現するために体をかがめる「屈体(くったい)」です。わたしたちが日常生活の中で行っている「お辞儀」のことですね。
 お辞儀は相手と心を通わせるためのものです。でも、こんな姿をよく見かけます。相手が頭を下げているのに、こちらはもう頭を上げている。また、こちらは丁寧に深々と頭を下げているのに、先方は頭を上げている―。これでは心が通っていないのと同じです。正しいお辞儀、心の通うお辞儀をするには、相手とタイミングを合わせることも大切ですね。
 いろいろな方がお辞儀をする姿をよく目にしますが、見とれてしまうほど美しいお辞儀をされる方がいると「心のきれいな人なのだろう」と思ってしまいます。わたしはお辞儀のきれいな人が大好きです。就職の採用面接に来た学生でも営業マンでも、お辞儀のきれいな人の話を素直に聞いてしまいます。わたし以外にも美しいお辞儀を好む人は多いはず。お辞儀がきれいな人は絶対に得をすると思います。