第1回
一条真也
「デートの作法について」

 

 最近、PHP新書の一冊を書き下ろしましたが、かの国民的ベストセラー『女性の品格』(坂東眞理子著)と編集者が同じ人でした。わたしが考える女性の品格も坂東さんと基本的には同じですが、わたしは男性ですから、男性なりの視点というものがあります。  今回はデートの作法についてお話したいと思います。
 まず、男性とデートしたときは、女性は思い切り男性のサポートを受けてください。たとえばドアを開けてもらったり、コートを脱がせてもらったり。誤解してはならないのは、女性が無力で独りでは何もできないから男性が助けてあげるわけではないということです。それは、特別な存在である貴女が出来るだけ快適な時間を過ごせるようにしたいからなのです。
 男性が女性に食事をごちそうするのも、彼が彼女より稼ぎがいいとか、彼女に支払い能力がないからではありません。それが男の喜びだからです。したいから、するのです。そうすると気持ちいいから食事をおごったり、物を贈ったりするわけで、与えることはまさに「男の快楽」なのです。
 女性のなかには、もし男性のサポートを受け入れたりしたら、性的な意味でのお返しをしなければならなくなると誤解する人もいますが、それはまったくナンセンス。そんな心配をする必要はまったくありません。男性のプレゼントを受け入れたことで、女性はすでに男性にプレゼントをしたことになるのです。
 でも、ぜひ女性の方々にお願いしたいことは、男性からごちそうされたり、贈り物を貰ったときは、必ずお礼の言葉を言ってください。ごちそうしてもプレゼントしても何も感謝の言葉が返って来ないのはさびしいもの。
 これは男女を超えた人間としての礼儀の問題でもあります。わたしは、相手が男でも女でも食事をごちそうした場合、相手がもし、「ごちそうさま」と言わなかったら、二度とその人とは食事をしません。
 また若いカップル同士だと「ごちそうさま」ではなく「すみません」とか「ごめんなさい」と言う人もいるようですが、これもさびしい。これでは相手に気を遣わせるためにデートをしたようでわびしいムードになってしまいます。
 もしどうしても気になるのなら「ありがとう」の後に「次回は私がごちそうさせてもらうね」と一言添えられてはいかがでしょうか?
 男性に対する「ごちそうさま」や「ありがとう」の言葉こそ、心の宝石というべき女性からの最高のプレゼントです。
 お礼の言葉が自然に出てくる女性は素敵です。